Itazura Numanは、古着Tシャツにトンチを効かせた刺繍を施し、リメイクして販売するというプロジェクトです。
例えば、
Tシャツにプリントされた「LET'S GO EAT」のテキストをお題として、
レオナルド・ダヴィンチの《最後の晩餐》の絵の刺繍(かなりユルめの)でレスポンスするといったような。
私たちが手にする安価なものは、世界のどこかの国の人々が低賃金、劣悪な環境の工場で作っているという事実に疑いの余地はなく、
またそれが短いスパンで大量破棄されるという一連のサイクルに疑問を抱いたのが、このプロジェクトを始めたきっかけです。
Itazura Numanが破棄寸前のところで救い出しているTシャツは極々僅かですが、
日本で安く手に入るものがどのように生産・流通されているのかを意識したり、想像したりするきっかけづくりになればと思います。
再利用したTシャツ生産国のマッピングも
並行してやっています。
年間100万トンとも言われている日本の廃棄衣料が
どこに流れているのかということもリサーチ中ですが
どうやらマレーシアが
日本の古着の最大の受け入れ先のようです。
インドネシアのユニクロの工場が2015年4月に倒産、2000人もの労働者がいきなり職を失い
払われるべき賃金も未だに支払われていないという話や
カンボジアの摘発されたセックスワーカーが「職業訓練」の名の下に
裁縫工場に送り込まれ、無給で働かされていたりするというのは
日本で暮らす自分の生活とも直結する現実の話です。
1127人もの死者を出した、2013年のバングラディッシュのダッカ近郊ビル崩落事故は
世界的なニュースになったので記憶している人も多いと思います。
モノが安く買えるのはうれしいけど
今の世界経済のシステムでは、それは誰かの不幸の上に成り立っている。
マレーシアの「Jalan Jalan Japan」(通称「ジェジェジェ」)というブックオフが運営する
日本の中古品を取り扱う巨大なリサイクルショップもチェーン展開されています。
ブックオフによれば、「日本でかかっている廃棄コストをまず3分の2、そして半分にまで減らしたい」とのこと。
実際にクアラルンプール の店舗を訪れてみましたが、
確かに現地の人が喜んでいるのを見ると、ただゴミとして焼却するよりは全然マシな気もしますが
それでもやっぱり大量消費と大量廃棄を前提とした商売に、ポジティブな未来を見るわけにはいきませんね。
良くも悪くも(「悪い」と現地の友人達は言う)シンガポール化が進むマレーシアなので
「もうゴミはいらない」と言われるのも時間の問題です。
Itazura NUMANの“NUMAN”は「縫う人」という意味です。
私たちは衣食住の「衣」に関して、たくさんの選択肢を持っています。
毎月新しい洋服を買うのを止めて、長く着られる服を選んでみるとか。
自分で洋服を作ってみたり、デザインに飽きてしまった服を少し直して着るとか。
搾取工場で作られている服をボイコットするとか。
地球も工場労働者も悲鳴をあげている中で
これからどのようにファッションを楽しんでいったら良いのか、みんなで考えていきたいです。
Itazura NUMANのTシャツを通して、あなたが何か楽しい「衣」を見つけてくれたらと思っています。